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連載 ラグビーワールドカップ奮闘記(4)

「ラグビーワールドカップ奮闘記」
〜ひたむきにひとつひとつ心をこめて〜
元ラグビー日本代表テクニカルスタッフ 村田祐造

『第1章 思考は現実化して』

 連載 第4回!
  
  ●アメリカズカップへの挑戦!


大学院の専攻は、工学部環境海洋工学科の宮田秀明教授の研究室。
アメリカズカップというヨットレースに挑戦する
「ニッポンチャレンジ」の挑戦艇を設計する研究室である。

私は、ラグビーを引退してレーシングヨットの
設計プロジェクトに挑戦する道を選んだ。

私の大学院1年目の役割は、
計算流体力学(CFD)を使って船の舵やマストの設計をする事、
模型実験で船の性能をテストすることだった。

ラグビーにぶつけていたエネルギーを
そのままこのプロジェクトに突っ込んで、
死に物狂いで勉強した。

大学院の2年目は休学して
ニッポンチャレンジの契約エンジニアになった。
ニュージーランドで行われたレースに帯同し、
6ヶ月の海外生活を経験した。

レース艇の電気系統のメンテナンスと海上実験のデータ分析が、
ニッポンチャレンジでの私の仕事だった。

科学技術を駆使してヨットレースというスポーツをサポートする仕事だった。
全力で仕事をした。勝てると思っていた。

しかし、ニッポンチャレンジは準決勝で敗退し、私の挑戦も終わった。


ラグビーの国ニュージーランドで風と波とヨットの分析データと格闘しているころ、
三洋電機ラグビー部のスカウト担当の氏野さんが
ニッポンチャレンジのベースキャンプにいる私を訪ねてくれた。

「久しぶり!元気そうやな、ヨットもおもろいやろ。
でもそろそろラグビーもやりたくなってるんとちゃうか? 
ブランクはすぐ取り戻せる大学院を卒業したら三洋でラグビーをやらないか」

心が躍った。まだチャンスがある!

ニュージーランドの街には大きな公園がある。
ヨットの仕事が休みになると私はよく公園にでかけていった。

ほぼ確実に誰かがタッチフットをやっているからだ。

「Can I Join you? Mate!」

ラグビーがあるから誰とでも友達になれた。
子供やおばちゃんも混じってタッチフットをやっている。

トンガ人クラブチームのタッチフット練習にも参加したことがある。
この国ではいろいろな人たちがラグビーを楽しんでいる。

高校生の女の子がスクリューパスを放るのを見て、
この国のラグビー文化の奥深さに感動した。

氏野さんの言う通り、またラグビーがやりたくなっていた。
 
大学院3年目に復学した。

修士論文のテーマは、レーシングヨットの設計法についてまとめる予定だったが、
そんな気力はどこにも残っていなかった。
もうヨットは無理だ。

でも科学技術を駆使して、
スポーツをサポートする仕事の研究を続けたいと思った。

一番好きなラグビーを分析して、
戦略を考えるためのシステムを作りたい。 

私は修士論文のテーマを
「勝ちたいスポーツ競技者のための意思決定支援ITシステムの構築」に変えてしまった。
指導教官の宮田先生に激怒されてしまったけれど……。

三洋で思いっきりラグビーをやりながら、
仕事もラグビーの分析ソフトの開発ができたら、さぞ面白かろうと思った。

大学生のときに味わったラグビーの分析の苦労を生かして、
ニッポンチャレンジで学んだプログラムの技術をもって努力すれば
きっといいものが出来るに違いない!とあまり根拠もなく信じていた。

「いいのが出来たら、日本代表に売り込んでみようかな。
そしたら今度のワールドカップに連れてってもらえたりして。うわぁ、楽しみ」
期待で心が躍った。

「なんと言っても俺、ラグビーが好きだし」

今度は自信をもって言えた。


次回へ続く・・・

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