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2008年07月 アーカイブ

2008年07月02日

連載 ラグビーワールドカップ奮闘記(5)

「ラグビーワールドカップ奮闘記」
~ひたむきにひとつひとつ心をこめて~
元ラグビー日本代表テクニカルスタッフ 村田祐造

『第1章 思考は現実化して』

 連載 第5回!
  
   ●スポーツ分析ソフト「PowerAnalysis」誕生!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

三洋の入社試験の最終面接。

私は事前に人事担当の方に、
スポーツ分析ソフトの開発企画書を提出していた。

最終面接では、その企画書について役員の方から
質問されることになっていた。

私は、先手を打った。

面接会場に、大学の研究室から借りたパソコンと
プロジェクターを持ち込んだのだ。

当時は、まだモバイルなタイプのスマートな
プロジェクターなんかなかった時だ。

がっつり肩に大きなケースをかかえて、
大汗をかきながら会社のエレベータを昇った。

面接を受けに来た他の受験者に
「それ何ですか、今日は面接だけですよね」と聞かれた。

「ああ。そうです。ちょっとアピールしたいことがあって」

面接会場では、最終面接にふさわしく、
ビシッとスーツとポマードで決めた
採用担当トップの役員さんが私を迎えてくれた。

どこから見ても「できる」オーラを発している方だった。

「こんにちは。村田祐造です! 
あの、すみません。面接していただきながら、
私のやりたい仕事についてプレゼンさせてもらった方が
きっと伝わると思ったので、
今日はプロジェクターを持ってきました。
コンセント借りていいですか」

この会社でどんな仕事をやりたいのか、
懸命に自分の夢と志を説明した。
たくさん冷や汗が出たが、情熱は伝えることができた。

面接官の執行役員の方は、始めは面食らいながらも
楽しそうに私のプレゼンを聞いてくれて、
最後にはいくつか突っ込んだ質問をしてくれた。


合格の通知はやってきた。
苦労はいろいろあったが、思考はしだいに現実化していった。

希望通り、大学院で研究を始め、三洋電機でラグビー選手になった。
厳しい練習の傍ら、業務では分析ソフトの研究を続けた。

有難いことにいろいろな方の応援やサポートを受けて、
導かれるように完成したのが、
スポーツ分析ソフト「PowerAnalysis」だ。

スポーツ映像分析ソフト「PowerAnalysis」は、
統計データ作成と映像のデータベース化を同時に行ってしまうソフトだ。

統計データを見ながら、そのデータの根拠になっている映像が見たいと思ったら、
すぐにその映像が呼び出せる。

ラインアウト、スクラム、キックオフ、タック
次々に欲しいシーンを呼び出すことができる機能を持っている。

「PowerAnalysis」は、私が東大ラグビー部で
分析委員をやっていたときに感じた、
面倒くさい映像編集の仕事やジレンマを解消するため、
コツコツと開発した分析ツールである。

(当初はラグビー専用のものであったが、現在はどのようなスポーツにも対応している。)

三洋電機ラグビー部でテスト導入して、
選手の個人データを集計できるプロトタイプが完成した。

三洋電機の飯島コーチの紹介で、
ラグビー日本代表監督の向井監督にお時間を頂いた。

私は喜び勇んでプレゼンしたが、結果は、
「面白いけど不十分」という評価だった。

向井監督曰く、
「統計データは確かにいいんだけど、データだけじゃ弱いんだよな。
データと映像をつなげてよ。こいつがタックル何回成功、何回失敗。
はい映像はこれ、みたいな感じでさ」

その言葉に私は唸った。
「なるほど。今はまだ出来ませんが、出来る方法を考えます。持ち帰って出直します」

そう答えるのがやっとだった。

2008年07月04日

今日われ生きてあり

日本人のムラタぐです。

「今日われ生きてあり」

ともかく私は今生きています。

このブログを読んでいる皆様も今生きています。

皆様にぜひ読んでいただきたい本があります。

今日われ生きてあり (新潮文庫)/神坂 次郎
book.jpg


僕の生命の残りをあげるから、おばさんはその分、長生きしてください
――氏を覚悟した特攻隊少年飛行兵たちの美しい言葉、記録の本です。

この本は、数年前友人が貸してくれて、泣きながら読みましたが
とても重くとても悲しく在り難い本でした。

先日、この本を思い出さずにはいられない出来事がありました。

妻の同級生が亡くなったのです。
原因は、心筋梗塞だったそうです。

私達と同じ年で、特に異常もなく健康だったのに
私達と同じように夫婦で仲良く暮らしていたのに
ある日の朝、突然亡くなっていたのだそうです。

私は面識はない方なのですが、妻も私も非常にショックを受けました。

本当に心から冥福をお祈りします。


明日が必ず来る保証はないのだという
重い事実を、私たちは教えていただきました。

明日死ぬかもしれない。
その可能性は低いけど誰もゼロとは言い切れない。

だから「今」
だから「今、目の前の人、仕事」を大切にしなくては・・・。

今日われ生きてあり
その奇跡に心から感謝します。

大切な人と一緒に暮らせること。
両親がまだ健在なこと。

今日会社で仲間と一緒に働けたこと。
今日お客様にありがとうと言われたこと。
今日部下がちょっと失敗したこと。

今日ごはんがおいしく食べられたこと。
今日ぐっすり眠れること。

明日の朝目が覚めること。
となりの妻も目を覚ましてくれること。

どれも当たり前のようだけど
実は、とても在り難い奇跡なのだと
あらためて感謝します。

大切な人にきちんと
毎朝、毎晩、ありがとう。
毎朝、毎晩 あいしてるよ。
と伝えることにします。

直接、伝えることができない方には
心の中でつぶやきます。

国を護るために海に散った少年飛行兵の皆様
心ならずも私達より先に亡くなり
私達に命と今の大切を教えてくれる先輩の皆様
どうもありがとうございます


お父さんお母さん
生まれてくれてありがとう。

出会ってくれてありがとう。
産んで育ててくれてありがとう。
元気に生きててくれてありがとう。

心をこめてありがとう。

今日も皆様に感謝。

2008年07月09日

連載 ラグビーワールドカップ奮闘記(6)

「ラグビーワールドカップ奮闘記」
~ひたむきにひとつひとつ心をこめて~
元ラグビー日本代表テクニカルスタッフ 村田祐造

『第1章 思考は現実化して』

 連載 第6回!

  ●思考は現実化する!日本代表テクニカルに・・・!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この時点で、出来るあてはまったくなかった。
しかし、できませんと答えてしまったら、それで終わりだ。

『できない』のではない、『まだできない』だけだ。

「どうやったらできるか考えて努力すれば必ずできるようになる」
という信念を私はラグビーから学んでいた。

高校でラグビーを始めた当初、私はスクラムハーフからの
高いパスがどうしても捕れなかった。

叩き落してばかりいたら「バレーボールじゃねんだぞ!」
と怒られたぐらい、私はへたくそだったのだ。

それが今ではトップリーグの選手なのだ。
『できない』のではない、『まだできない』だけだ。

あきらめなければきっとできる。
いや、私ならできる。

今やるべき行動と方法を理詰めで徹底的に考えて、
できることを継続して努力すれば、何でもできるはずだ。

毎朝の筋肉痛。開発の難しさ。
ラグビーの練習との両立。

練習が終わるとまた会社に戻ってパソコンに向かった。

ラグビーも仕事も両方厳しかったが、お互いに気分転換にもなり、
リンクしていて厳しくても楽しい日々だった。

「信じて努力すれば、きっとできる」
ラグビーで学んだ信念が私を支えてくれた。

半年後、改造した分析ソフト「PowerAnalysis」を向井監督に再び見て頂いた。
向井監督はひざを叩いて喜んでくれた。

「これだよ!いいね。言った通りに作ってきてくれたな。よし使おう!
村田も三洋の選手で大変だろうが、日本代表チームのテクニカルスタッフに加わってくれ」

話は即座に決まった。

涙が出るほど嬉しかった。

大学院の研究テーマを変更する時の、
あの淡い期待が的中して私は日本代表のテクニカルスタッフになった。

「思考は現実化する」というアメリカの成功者にインタビューして
成功法則を研究したナポレオン・ヒルの言葉を実感した。

本当に実現するんだ! 

まるで漫画のようだった。


次回へ続く・・・

2008年07月11日

測ることで見えてくる 選手もコーチも楽しいスポーツのコーチング

チームワークエンジニアのムラタぐです。

本日発売(7月10日)のトレーニングジャーナル8月号に
NPO法人日本eコーチング協会として,
私と仲間の宮崎さんとで執筆した原稿が掲載されました。

10076156092_s.gif

http://www.bookhousehd.com/tj/booktjnew.html

映像分析から考えるトレーニングメニューという連載です。

今回は、「計測による『見える化』~測ることで見えてくるもの」
というテーマです。

スポーツのパフォーマンスを計測して
いかに効果的に選手をコーチングするか?
というテーマです。

私が副理事長をしておりますNPO法人日本eコーチング協会で
認定パフォーマンスアナリストという資格を認定しているのですが
資格認定のために、受講生が提出していただいた

パフォーマンス改善の事例を中心にご紹介しています。


1)ラグビーのラインアウトリフティングの改善事例

2日間のeコーチングで
最高到達点の高さが20cm高くなり
動き出しから最高点到達までの時間が
0.72秒早くなりました。

動画サンプル
http://www.smileworks.co.jp/e_coaching/2008/000192.html


2)ラグビーのキャッチ&キックの改善事例

5日間のeコーチングで
キックのモーションが0.17秒速くなり
キック成功率が25%から80%に向上しました。

動画サンプル
http://www.smileworks.co.jp/e_coaching/2008/000199.html

上記二つの事例は、本当に劇的なので
びっくりします。

計測というのはサイエンスなので
私の理系ちゃんの血が騒ぎました。

スポーツと科学とコーチングの3領域を
うまくミックスしてとても面白い記事になったかなーと
うれしく思っております。

スポーツ科学に興味のある方ぜひお読みください。

それにしても嬉しいのは
ご紹介したのは、私が直接、選手にコーチをした事例ではなくて
eコーチング協会の講習を受講されたコーチの方が
提供してくださった成功事例であるということです。


人間一人の使える時間は、限られています。
私達が直接指導できる選手や子ども達の数は、限られています。


だから日本のスポーツをもっと強くて楽しいものにするために、
私達は日本eコーチング協会を設立しました。


私達が培ってきたコーチングの技術を
体系化して皆様にお伝えしてきた成果が
こうして結実してきたのがとてもとても嬉しいです。


スポーツ指導者のみならず、
スポーツをやっている子ども達のお父さんお母さんにも
ぜひ学んでいただきたい内容です。

心から力が沸いてくる選手もコーチも楽しいeコーチング!
もっともっと広げていきたいです。

今後ともよろしくお願いします。

【次回 日本eコーチング協会 認定パフォーマンスアナリスト講習会のご案内】
8月9日(土)  13:00開場 13:30~19:50   
  8月10日(日) 9:30開場 10:00~18:30 


  講 師:村田祐造(CPPA)
  会 場:新宿コズミックスポーツセンター
       (東京メトロ副都心線・西早稲田)
  
詳しくはこちらまで
  http://www.smileworks.co.jp/event/2008/06/000184.html

  
お待ちしております。

以上、ムラタぐでした。

今日も皆様に感謝。
心をこめてありがとう。

2008年07月16日

連載 ラグビーワールドカップ奮闘記(7)

「ラグビーワールドカップ奮闘記」
~ひたむきにひとつひとつ心をこめて~
元ラグビー日本代表テクニカルスタッフ 村田祐造

『第二章 ひたむきに 泥にまみれ』

 連載 第7回!本日から第二章

   ●壮絶な東大ラグビー部の練習とはいったい?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まだ三洋電機に入社する前のことだ。

泥にまみれてのひたむきな努力が実る瞬間を目撃した。
大学院在学中3年目の9月、私は観客席で絶叫していた。

大芝主将率いる東大ラグビー部が日本体育大学に勝ったのである。
涙があふれた。信じられなかった。本当に嬉しかった。

次の週、私は駒場の東大グラウンドに立っていた。
大学院生として東大ラグビー部に復帰したのだ。

以前から大芝に「祐造さん。一緒にラグビーやりましょうよ。
俺達には祐造さんが必要なんすよ」と甘い言葉で口説かれていたのだが、

修士論文の研究で多忙だったため断り続けていた。

しかし、「日体大に勝っちゃうチームってどんなチームなんだろう」という
好奇心と「こんなすごい奴らが必要だと言ってくれるのなら、やってみよう。

三洋電機でプレーする前に体作らなくちゃいけないしな!」と言い聞かせて、
修士論文のためにやらなければいけないことは文字通り山積していたが、
私はラグビー部に復帰してしまった。

「日体大に勝っちゃうチームって、どんなチームなんだ」
答えはすぐにでた。

控え選手中心のBチームの試合が組まれている日だった。
レギュラー中心のAチームがコンビネーションの練習をしていた。

地域を想定してBKが球を動かし、FWがそれをサポートする練習だ。
私はBチームの試合メンバーだったので、その練習を外から眺めていた。

水上コーチの要請で早大OBの橋本氏が駒場に来てくれ、コーチして下さっていた。
私はその練習に戦慄した。

「おぇ。おぇー」

コンビの最中にFWの選手が吐いていた。

「22mスクラム!」選手達は指定されたポイントまで、
よれよれの、しかし精一杯のジョギングで途中何度か吐きながら走っていた。

橋本コーチの檄が飛んだ。

「いいかFW。『頑張る』っていうのはよー、最初の10mダッシュして
最後の10mもダッシュするっていうことなんだよ。

ポイントからポイントの移動はそういう気持ちで走るんだよ。
それが、FWが『頑張る』ってことなんだよ。

BKが最後トライしたときにはFW全員が塊で
インゴールになだれ込むぐらい『頑張って』走ってみろ!」

そしてまたコンビが再開される。

BKは丁寧にボールをつなぎ、FWはひたむきにラックからラックまで
『頑張って』走っていた。

ウィングの藤井がインゴールにトライを決めると、
その周りに少し遅れてFWの塊が倒れこむようにして
ばたばたとなだれ込んだ。

そしてまたインゴールで誰かが吐いた。

「おぇ。おぇー」

信じられない位、素直でひたむきな奴らだ。
コーチの要求通りに『頑張って』いる。

すると、FWリーダーの宋選手が、リバースした直後の口を拭いながら、
泣きながら狂ったように叫んだ。

「おい!お前らー!なんで俺のいうことはロクにきかねぇのに
コーチのいうことはそんなにきくんだよー。
そうじゃねえだろー!練習はやらされてやるもんじゃねぇだろー!」

(コーチの方を睨みつけて)
「あいつがなんだっつんだよー」

「うるせぇ!」と橋本コーチが宋を蹴り倒した。

壮絶だ。
背中にヒヤリと汗が流れた。

こんなひたむきなFW達にサポートされたら、BKは申し訳なくてミスなんか出来ない。
そりゃもう、死に物狂いで球を活かすようになるはずだ。


次回へ続く・・・

2008年07月22日

意中人あり腹中書あり

チームワークエンジニアのムラタぐです。

いい言葉に出会いましたのでご紹介します。


忙中閑あり苦中楽あり
死中活あり壺中(こちゅう)天あり
意中人あり腹中書あり

安岡正篤


安岡先生は、東洋思想・人間学の権威です。

先日、熊野神社で頂いたお札にこの言葉を教わりました。


口語訳すると

「忙中閑あり苦中楽あり」
忙しいときも心は忙殺されず
苦しい中に本当の楽しみを見出そう。

これだけでかなり素敵です。

「死中活あり壺中(こちゅう)天あり」
身を捨ててこそ、成功する場面もあるだろう。
いかなる境遇でも独自の内面世界を確立しよう。

とても難しいことですが、
自分の中に夢や理想の世界や自分らしさをもつというのは
大切なことです。

「意中人あり腹中書あり」
心には常に尊敬する人物をもち
腹の中では修める学問があるように
常に学び続けよう。

この言葉がもっとも印象に残りました。

具体的にこの人のようになりたい!
という人物をイメージして学び続けることは
とても大切です。

私の心の中には、
信ずる道を歩み続け同志を結びつけて
明治維新の立役者となった坂本竜馬と
農業を楽しみながら家族を養い
土と共に生きることを一生の仕事にした
私の父がいます。

心をこめてありがとう。

今日も皆様に感謝。

2008年07月23日

連載 ラグビーワールドカップ奮闘記(8)

「ラグビーワールドカップ奮闘記」
~ひたむきにひとつひとつ心をこめて~
元ラグビー日本代表テクニカルスタッフ 村田祐造

『第二章 ひたむきに 泥にまみれ』

    連載 第8回!

     ●勇気を振り絞って前へ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数週間経って、私もAチームのコンビに参加するようになった頃である。

当時私はウィングだった。私へのパスがワンバウンドした。
低すぎて捕れそうになかったので、私は足にかけてドリブルした。

ライン際だったのでボールは転がってタッチに出た。

その時だ、宋が飛んできて、
「ボールが落ちたらセービングじゃねぇのかよ、ゆうぞう、ふざけんな!」

3歳年下の後輩から怒鳴られた。

私は手刀を鼻先に出し「わりぃ。その通りだ」と頭を下げた。

ミスボールを相手に拾われると、こちらの陣形が崩れているケースが多いので大ピンチを招く。
逆に相手のミスボールを拾えれば、大チャンスになる。

ボールが落ちたらセービング。

セットプレイで常に劣勢に立たされ、攻撃機会の少ない東大ラグビー部は、
ミスからのピンチは最小に、相手のミスからのチャンスは最大にしなければならない。

我々はそういうところで体を張らなかったら勝つ要素がなくなる。

たとえそれが上級生でも、「ゆうぞう」でも、
落ちたボールにセービングしない選手が一本目のすいかジャージを着る事は許さない。

そんな迫力があった。

ラグビーは、肉体的なぶつかりあいの戦いだ。
自分をタックルしようと待ち構える敵の中にボールを持って突進するのだ。

しかし、相手のタックルが怖いからと言って後ろに逃げることはできない。
ラグビーでは自分の後ろにいる仲間にしかパスができないからだ。

後ろに逃げたらパスできる仲間がいなくなる。
ボールを前に進める競技なのに、前にいる仲間にはパスができない。

それがラグビーだ。

少しでも前へ。前へ前へと進む行為は、次に走る味方を活かす役割になる。
自分がタックルされてもパスをつなげば、仲間が代わりに前に進めてくれるのだ。

裏を返せば、目の前のボールはみんながつないできてくれたボールだ。
仲間がつないでくれたボール。少しでも前に進めて次の仲間に託す。

ラガーマンは勇気を振り絞って前に進むのだ。

つまり、ラグビーとは、仲間からの信頼と自分の責任をかけた精神の高さが試される戦いでもある。

そんな厳しい戦いの最中には「村田さん!ボールを落としたらセービングお願いします!」
などとはしゃべっていられない。

「村田さん!」なんて呼び名は、恐怖に打ち克ちながら、
頭に血を上らせて突進している極限状態では耳に入らない。

しかも悩ましいことにラグビーでは、前に進もうとしているので、意識も身体も前を向いている。
しかし、パスできる仲間は後ろだ。

仲間の存在を確認するためには、耳がとても重要なのだ。
だからラグビーの試合中は、「祐造!右にいるぞ」と声をかけてもらうのが、一番ありがたい。

人が生まれて、大好きな人がたくさん呼びかけてくれる言葉。
生涯で一番多く耳にする言葉。
人の心に最も届く素敵な言葉はその人の名前なのである。

だからラグビーの友達には、下の名前でお互い呼びあう仲間が多い気がする。

グラウンド上ではあまり先輩後輩の上下関係は厳しくなくていい。
戦いの最中には最もシンプルに心に響く言葉が必要なのだ。

ただし、グラウンド外では別だ。
目上の人には、礼儀正しいのが正しいラガーマンの姿だ。

練習後の風呂で宋に話しかけた。

「おい宋。あんとき悪かったな。セービング。俺、ボール落ちたら全部飛び込むよ」
と言う私に、「あー祐造さん。わかってますよー。僕の方こそ熱くなっちゃってすいません」
と宋は屈託なく笑った。

本当にいい奴がリーダーをやっているなと、私は心の中でニヤリとした。

次回へ続く・・・

2008年07月30日

連載 ラグビーワールドカップ奮闘記(9)

「ラグビーワールドカップ奮闘記」
~ひたむきにひとつひとつ心をこめて~
元ラグビー日本代表テクニカルスタッフ 村田祐造

『第二章 ひたむきに 泥にまみれ』

    連載 第9回!

     ●村田にとってのベストゲーム!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


風呂といえばこんなこともあった。

私が部室の湯船で練習の疲れを癒していると、
なにやら手の平サイズの泥太もものが
前面にべったりはりついた状態で湯船に
ザブザブ入ってくる奴がいる。

4年生のFWの関口だ。

猫背でみぞおちの辺りが凹んでいるため、
ヘコミさんというあだ名がついている。

「おいヘコミ。お前、すんげー泥ついてるぞ。そこ洗ったん?」

「あ。祐造さん。これ落ちないんすよ。
俺ジャンパーだから、リフティングのために糊スプレー塗ってるんすよ。
リフターの手がすべんないように。
練習のたびに塗るから、そのたびに泥がついて何層にも重なってて、
洗ってもこすっても全然落ちないんすよ。これ」

私は呆れ顔を覗き込んだ。

「マジ?でも、お前それじゃ彼女に怒られるだろ。布団汚れるしさ」

「もう諦めましたよ。ラインアウトでボールをとるために
一生俺はこの泥の十字架を背負って生きていくんすよ」
と関口は苦笑いを浮かべた。

文字通り泥臭い奴がいるもんだなと、私は心の中でまたニヤリと笑った。

信じられないくらい泥臭くてひたむきなチーム。
狂気にも似た「ひたむきさ」が充満していた。

それでいて、宋が練習中に仲間に要求していたように、
キツイ練習はコーチに「やらされる」のではなく、
自分から「やるんだ」そして「俺達はひたむきに体を張るんだ」
という強い意志がチームにあった。

そういうチームだった。

チームはターゲットにしていた筑波大には敗れたもの、
青山学院大に勝利を挙げ、創部以来の快挙を成し遂げた。

青学戦には私も出た。今でも私のベストゲームだ。
思い出すだけで嬉しい気持ちになる。

チームメイトの後輩達に今でも深く感謝している。

「どうもありがとう」

2000年の東大ラグビー部の対抗戦は、
人々から快挙と呼ばれる成績で終了した。

しかし、快挙の影に隠れているが忘れてはいけない試合がある。
最終戦の京都大学との定期戦には、敗けているのだ。

私はその試合にも出た。負ける気はしなかったのだが負けた。
快挙の後でチームにどこかフワフワした気持ちがあったのかもしれない。

試合後酒を飲みながら、宋が苦笑いで言った。

「やっぱ、俺たち気持ちで油断してたんすかね。満足しちゃってたって言うか。
東大ラグビー部がね、勝ちたいっていう気持ちが相手より弱かったら、
気持ちで負けてたら、どこにも勝てる訳ないっすよね。
あぁでも、それがわかっただけで今日の試合は意味があるな」

私も多くのことをあのチームから学ばせてもらった。

いいチームだった。


次回へ続く・・・

ほめてから改善 プレゼンテーションeコーチング研修@国際武道大学

チームワークエンジニアのムラタぐです。

チームワークにはコミュニケーションが大切です。

あるチームの中でリーダーとなる人に
必要なコミュニケーションスキルの一つが
プレゼンテーション(提案)です。

先日、国際武道大学の学生・大学院生の皆さんに
プレゼンテーションの研修をしてきました。

4時間かけて実施しました。

参加者の皆さんに、プレゼンテーションのお題を出して
それぞれ実際にやっていただきます。

プレゼンが終わると聴衆の方がすぐさまコーチになります。

「○○さんのよかったところは・・・・です。」
「改善点は・・・・・です。」
の順でコメントしていきます。

しかも、プレゼンの模様は撮影されています。

みんなのコメントを聞いたあとに
自分で自分のプレゼンテーションの映像をチェックして、

「私のプレゼンのよかったところは・・・です。」
「改善点は・・・です。」
とセルフコーチングします。

そして最後に私がコーチとしてアドバイスします。

お互いに全員がコーチしあう仕組みです。

「教えることは学ぶこと」なのでみんな
ものすごい速度で学んで上達していきます。

4時間の中で3回課題をだしました。

・今日のGOOD&NEWS
・私のおしごと(プレゼン対象は幼稚園児を想定)
・私のおすすめ(プレゼン対象は小学生)

単なる報告から、相手に合わせた情報提供、説得提案へと
段階的に難しくしてあります。

重要なスキルのポイントは簡潔にまとめると下記のようなことです。

内容について

・プレゼンの目標を明確に設定すること
・序論(プチ結論)・本論・結論の段落を作ってしゃべること。

話し方について

・聴衆とアイコンタクトしながら話すこと
(なるべくプレゼン画面や資料に目を向けない)
・木のようにしっかり立つ
・ときどき聴衆に話しかけてラポール(架け橋)を作る
   ・ 
   ・
   ・
などなど。

これらのポイントを踏まえて、お互いに

「映像を活用」
「原因を因数分解する」
「ほめてから改善」
「教えすぎず自分で考えさせる」

という、
日本eコーチング協会認定パフォーマンスアナリストコーチングの
考え方を用いながら、徹底的にeコーチングしていきました。

4時間で目に見えて全員が上達しました。
コーチの私もとても勉強になりました。

こういう機会を作ってくれた皆様に感謝です。

どうもありがとう!


そしてもう1人感謝すべき方が・・。

実は、私のプレゼンテーションの師匠です。

ある仕事の現場でお会いした方なのですが、
ご好意で、私と弊社のスタッフに
合計15時間の研修を授けてくださったのです。

全員の目からウロコがおちる研修でした。

それからの私は、研修講師としての質を、
また私を含めてスタッフも皆、ビジネスマンとしての質を
飛躍的に高めることができました。

このご恩・有難さは一生忘れません。

その方に、どうしたら御礼ができるかわからないくらいの
ご恩を感じています。

その思いを伝えると、

「これがありがたいと思ったら、このスキルを
どんどん人に教えなさい。教えることは学ぶことだから。
そして、ムラタぐさんのもってる最高のコンテンツを
最高のプレゼンテーションで世の中に広めて
社会に貢献しなさい。そうしてくれることが私は一番嬉しい。」

と言われました。

・・・。涙がでそうです。

受けた恩を別の人に返すという
ペイフォワードの考え方です。

本当に感謝です。

ご恩に報いるため私は頑張ります!


というわけで、そのプレゼンテーションスキルのエッセンスと
eコーチングとパフォーマンス分析の考え方を学べる講習会を
8月に実施しています。

分析的な問題解決法とコーチングを
学びたい方ぜひご参加ください。

【日本eコーチング協会 認定パフォーマンスアナリスト講習会のご案内】

8月9日(土)  13:00開場 13:30~19:50   
8月10日(日) 9:30開場 10:00~18:30 

  講 師:村田祐造(CPPA)
  会 場:新宿コズミックスポーツセンター
       (東京メトロ副都心線・西早稲田)

  詳しくはこちらまで
  http://www.smileworks.co.jp/event/2008/06/000184.html
 
以上


心をこめてありがとう。

今日も皆様に感謝。


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