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連載 ラグビーワールドカップ奮闘記(10)

「ラグビーワールドカップ奮闘記」
〜ひたむきにひとつひとつ心をこめて〜
元ラグビー日本代表テクニカルスタッフ 村田祐造

『第三章 苦闘するジャパンに見えた光』

    連載 第10回!

     ●信頼と責任のディフェンス

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2003年春。

ワールドカップイヤーのプレシーズン。
日本代表は苦難の道を歩んだ。

春の豪州合宿は1勝3敗。

スーパー12のBチームクラスが相手だった。
アタックは健闘してトライを奪うことはできるが、
ディフェンスがずたずたである。

吹っ飛ばされて抜かれる。
スピードで振り切られる。

とにかく1対1が止まらない。

お互いに信頼感がないから、仲間を信じられない人間が
自分勝手に相手に詰めたりして組織ディフェンスも機能しない。

テストマッチも連戦連敗だった。
アメリカ代表に敵地で惨敗。

2002年には快勝しているロシア代表にもホームの秩父宮で惨敗。

メディアはスタッフの批判を繰り返し、向井監督の退陣の噂もでたが、
現場はなんとかしようと必死だった。

韓国代表には勝ったが、豪州A代表にも連敗。
イングランドA代表にも連敗した。

最大の課題は1対1のタックルだった。
姿勢が高い。

日本代表の選手は国内では強いチームの選手達ばかりだ。
しかも大型な選手や攻撃が売りの選手が多い。

彼らの多くは、ボールを殺すためにと高い姿勢で
胸のあたりにヒットするタックルが癖になっている。

確かに社会人リーグではそれでも通用するのかもしれない。
だが外国人の一流選手には通用しない。

簡単に吹っ飛ばされる。
次はびびって腰が引けるからスピードで振り切られる。

組織で追い詰めて人数的に余ってない状況に追い込んでも、
最後にタックルする者が1対1で抜かれたら組織防御も崩壊する。

味方が信頼できなくなってみんな一人よがりのプレーをし始める。
一人一人の姿勢の高さが負の悪循環、ネガティブスパイラルを生み出していた。

どれだけ自分のチームが選択したシステムを信じられるか。
どれだけシステムの中で、自分の役割に対し責任を果たすことができるか。
どれだけ仲間の信頼に応えられるか。どれだけ仲間を信頼できるか。

信頼と責任が強いディフェンスを生む。

ボールの所有権を奪うことがディフェンスの目的である。

ラグビーは倒れたらボールを手放さなくてはいけない。
だからタックルは相手を倒さなくてはならない。

相手よりも自分の方が強くて胸の高さにタックルしても
相手を倒せるのならばそうした方がいい。

ボールのコントロールが奪えるからだ。

しかし、ワールドカップを戦う日本代表選手の場合、
相手の外国人選手はとても強く胸の高さにタックルしても倒せない。

倒すためには膝から腰にかけての低い位置に入り、
しっかりバインドして相手の足の回転を止めなければならない。

それができなければ、ボールがフリーになる。
ボールをオフロードパスでつながれる可能性が高くなる。

しかし、吹っ飛ばされて相手に突破されるよりよっぽどマシだ。
何度も吹っ飛ばされて抜かれたら、仲間に信頼してもらえなくなるからだ。


  次回へ続く・・・・

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