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連載 ラグビーワールドカップ奮闘記(13)

「ラグビーワールドカップ奮闘記」
〜ひたむきにひとつひとつ心をこめて〜
元ラグビー日本代表テクニカルスタッフ 村田祐造

『第三章 苦闘するジャパンに見えた光』

    連載 第13回!

     ●もうひとつのゲームプラン「チャレンジイーグルス」

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いや、まてよ。
確かにアンディの言うことにも一理ある。

最後まで守ってばかりでは勝てないだろう。

後半勝負どころでは、敵を「敗者のネガティブスパイラル」に
叩き込むためにリスク覚悟で攻めねばならないときが来る。

逆転の発想をしてみた。

私はもう一つのゲームプラン「チャレンジイーグルス」も
提案することにした。

チャレンジイーグルスとは、ビーバーズが「造った」
試合を受け継ぎ、後半の勝負どころから
「勝利をもぎとる」ためのゲームプランだ。

獲物を狙う鷲のようにチャンスをものにする。

チャレンジイーグルスのポイントは以下。

○攻撃型の選手を戦術的交代で投入する。
それがビーバーからイーグルへの戦術転換の合図。

○リスクに挑戦する。

○敵陣でラグビーをする。

○PKは、PからGoでクイック勝負。

○トライを獲るまで連続攻撃する。

「ビルディングビーバーズ」と「チャンレンジイーグルス」。

春シーズン終了後、私は二つのプランを
テクニカルチームに提案した。

テクニカル統括の中島修二氏と
もう一人のテクニカルスタッフの
秋廣秀一氏も賛成してくれた。

ここで苦楽を共にしたテクニカルチームの
メンバーを紹介したい。

テクニカル統括の中島修二氏は、
元日本代表キャップ11のフランカー。

89年に日本代表がスコットランドに
勝ったときのメンバーだった伝説の男だ。

前回ワールドカップでもテクニカルを務めている。

歌がうまい。

ビートルズの歌詞を暗記していて
完璧に熱唱するので外国でも大人気だ。

特にラブソングが上手だ。そして笑顔が癒し系だ。
「激しいタックル・かわいい笑顔の中島修二」と親しまれている。

私は師匠と仰いでいる。

もう一人のテクニカルスタッフの秋廣秀一氏は、
NECグリーンロケッツでも7年間テクニカルをやっている
テクニカルのプロ中のプロだ。

選手を動かすためのツボと引き出しをたくさんもっている。

元高校日本代表で日体大時代は俊足FBで
スーパーカートリオと呼ばれた男の一人でもある。

彼の得意の宴会芸は、
「オーワンダフル、チャーワンダフル」と呼ばれる荒業で、
全裸になりお椀と茶碗で股間を交互に隠しながら
オブラディオブラダの節に合わせて
「茶碗だぜ!」「お椀だぜ!」と歌う芸だ。

そのあまりにもベタであまりにも破天荒な一発芸に
私は抱腹絶倒しながら同時に尊敬を禁じえない。 

彼はチームを盛り上げるためならそこまでやるコーチなのだ。

NECがあれだけ強いのもうなずける。
もちろん彼は宴会芸の達人だけではない。

ラグビー映像編集の天才、いや神様である。

彼はカメラとパソコンを駆使し、映像と音楽、
音声と文字で一つの作品を仕上げていく。

その作品は選手を勇気付け、
いいイメージで試合に臨むために大いに活用された。

作品に涙した選手とスタッフは数知れない。
人は彼をラグビー界のスピルバーグと呼ぶ。

とにかく「ビーバー」と「イーグル」は、
我々3人で充分に議論し吟味し検討してから、
テクニカルチームの正式提案として向井監督に提案された。

この意味は非常に大きい。

私の単独意見のままでは、
たぶんチームに浸透しなかっただろう。

テクニカル統括の中島氏が私の意見を理解し
各方面に根回ししてくれた。

だからチームにすんなり採用された。

苦難の道に大きく光がさした気がした。


次回へと続く・・・

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